絶対値【数学基礎】

絶対値【数学基礎】

2025年1月7日

実数の大小

今回は絶対値について考えます。その前にまずは実数の大小について考えましょう。

それでは、実数の大小について数直線を用いて考えてみましょう。2つの実数を \(a, \ b\) として、数直線上の点 \(a\) が点 \(b\) より左側にあるとき、\(b\) が \(a\) より大きい、または \(a\) が \(b\) より小さいことを意味します。このことを

  • \(b > a\) または \(a < b\)

と書きます。

ところで、数直線上の点 \(a\) に対して、点 \(b\) の位置は

  • 点 \(a\) より左側
  • 点 \(a\) と同じ位置
  • 点 \(a\) より右側

のいずれかになります。このことを言い換えれば、2つの実数 \(a, \ b\) に対して、\(a < b, \quad a = b, \quad a > b\) の3つの関係のうちいずれか1つだけが成り立ちます。

実数の大小

なお、\(a ≦ b\) は \(a\) が \(b\) より小さいかまたは等しいことを表し、\(a ≧ b\) は \(a\) が \(b\) より大きいかまたは等しいことを表します。

ここで少し話を変えて、実数の積について考えます。ご存知の通り、正の実数と正の実数の積は正の実数、負の実数と負の実数の積も正の実数になります。つまり、同じ符号の実数どうしの積は正の実数になります。このことから、0でない実数 \(a\) に対して \(a^{2}\) は常に正の実数になります。また、\(0^{2} = 0\) です。このことをまとめると以下のようになります。

実数の2乗

実数 \(a\) に対して、常に \(a^{2} ≧ 0\) が成り立ち、\(a^{2} = 0\) となるのは \(a = 0\) のときに限る。

このことはぜひ頭に入れておいてください。

絶対値の定義

ここからはいよいよ絶対値について考えます。絶対値の定義は以下の通りです。

絶対値の定義

実数 \(a\) に対して、その絶対値 \(|a|\) は

\[|a| = \sqrt{a^{2}}\]

と定義される。

この定義はぜひ覚えてほしいのですが、より実用的な定義を紹介します。この定義は、上の定義と全く同じ意味をもちます。

絶対値の定義

実数 \(a\) に対して、その絶対値 \(|a|\) は

$$
|a| = \begin{cases}
a & (a ≧ 0) \\
-a & (a < 0)
\end{cases}
$$

と定義される。

すなわち、\(a\) が0以上ならば、その絶対値は \(a\) 自身で、\(a\) が0未満ならば、その絶対値は \(-a\) です。なお、絶対値は数から符号を取り除いたもの、と覚えている人は早めに上の定義に置き換えてください。今後は、この定義にしたがって絶対値を扱うことがとても重要になります。

また、定義から明らかに、常に \(|a| ≧ 0\) が成り立ち、\(|a|=0\) となるのは \(a=0\) のときに限ります。

ここで、絶対値の直感的(かつ本質的)な意味を説明します。絶対値 \(|a|\) は、数直線上の原点 \(O\) から点 \(a\) までの距離を表します。\(a\) を正の実数とすると、原点 \(O\) から点 \(a\) までの距離と、点 \(-a\) までの距離は等しいので、\(|a|=|-a|\) であることが確認できます。

絶対値と数直線

絶対値の計算

それでは、絶対値の具体的な取り扱いについて確認します。絶対値を外す方法を例題で確認しましょう。

例題

場合分けをすることで \(|x-2|\) の絶対値記号を外してください。

解答・解説

絶対値記号のついた式は、場合分けをすることで絶対値記号を外すことができます。絶対値記号を外すときは、記号の中身が0以上か、0未満かで場合分けを行います。

絶対値記号の中身が0以上であることを数式で表すと、

\[x-2 ≧ 0\]

となります。この不等式を解くと、

\[x ≧ 2\]

です。これが、絶対値記号の中身が0以上となるような \(x\) の範囲です。同様に考えると、中身が0未満となるような \(x\) の範囲は \(x < 2\) であることが分かります。

絶対値記号の中身が0以上であれば、そのまま記号を外します。また、中身が0未満であれば、中身にマイナスをつけて記号を外します。よって答えは

$$
|x-2| = \begin{cases}
x-2 & (x ≧ 2) \\
-x+2 & (x < 2)
\end{cases}
$$

となります。

絶対値の外し方

最後に、絶対値の積と商について紹介します。

絶対値の積・商

\(a, \ b, \ c\) は実数で、\(c \neq 0\) とすると、

\(\quad \displaystyle |ab| = |a||b|\)

\(\displaystyle \quad \left|\frac{a}{c}\right| = \frac{|a|}{|c|}\)

が成り立つ。

証明

積のほうの式を証明してみます。

まず、\(|ab|\) の絶対値記号を外します。もちろん、

$$
|ab| = \begin{cases}
ab & (ab ≧ 0) \\
-ab & (ab < 0)
\end{cases}
$$

となります。

次に、\(|a||b|\) の絶対値記号を外します。場合分けは「\(a ≧ 0, \ b ≧ 0\)」「\(a ≧ 0, \ b < 0\)」「\(a < 0, \ b ≧ 0\)」「\(a < 0, \ b < 0\)」の4つなので、以下のように絶対値を外すことができます。

$$
|a||b| = \begin{cases}
ab & (a ≧ 0, \ b ≧ 0) \\
a(-b) & (a ≧ 0, \ b < 0) \\
(-a)b & (a < 0, \ b ≧ 0) \\
(-a)(-b) & (a < 0, \ b < 0)
\end{cases}
$$

ところで、\(a(-b) = (-a)b = -ab\) 、\((-a)(-b) = ab\) なので、\(|a||b| = ab\) となるのは \(a, \ b\) が同符号のときで、\(|a||b| = -ab\) となるのは \(a, \ b\) が異符号のときです。さらに、\(a, \ b\) が同符号であることは \(ab \ge 0\) であることに等しく、\(a, \ b\) が異符号であることは \(ab < 0\) であることに等しいです。よって、上の場合分けは下のように整理できます。

$$
|a||b| = \begin{cases}
ab & (ab ≧ 0) \\
-ab & (ab < 0)
\end{cases}
$$

これは \(|ab|\) の絶対値記号を外した式と等しいので、\(|ab| = |a||b|\) が証明できました。■

商の式も同様に証明できるので、ぜひやってみてください。

練習問題

問題

場合分けをすることで、以下の式の絶対値記号を外してください。

\((1) \quad |3x+2|\)

\((2) \quad |x-1||x+3|\)

\((3) \quad |x|+|x+2|\)

解答・解説

\((1)\)

\(3x+2 ≧ 0\)、すなわち \(\displaystyle x ≧ -\frac{2}{3}\) のとき、絶対値記号の中身は0以上なので、そのまま記号を外します。

\[|3x+2| = 3x+2\]

一方、\(3x+2 < 0\)、すなわち \(\displaystyle x < -\frac{2}{3}\) のとき、絶対値記号の中身は0未満なので、中身にマイナスをつけて記号を外します。

\[|3x+2| = -(3x+2) = -3x-2\]

よって答えは

$$ \displaystyle
|3x+2| = \begin{cases}
3x+2 & (x ≧ -\frac{2}{3}) \\
-3x-2 & (x < -\frac{2}{3})
\end{cases}
$$

となります。

\((2)\)

※この問題は2次不等式を解く必要があるので、分からない人は飛ばしてください。

絶対値の積の計算を使うと、

\[|x-1||x+3| = |(x-1)(x+3)|\]

となります。あとは同じように場合分けを行います。絶対値記号の中身が0以上となるのは、

  • \((x-1)(x+3) ≧ 0\) すなわち \(x ≦ -3, \ 1 ≦ x\)

のときです。また、中身が0未満となるのは、

  • \((x-1)(x+3) < 0\) すなわち \(-3 < x < 1\)

のときです。よって答えは

$$
|x-1||x+3| = \begin{cases}
(x-1)(x+3) & (x ≦ -3, \ 1 ≦ x) \\
-(x-1)(x+3) & (-3 < x < 1)
\end{cases}
$$

となります。

\((3)\)

絶対値記号が2つありますが、1つずつ考えれば大丈夫です。2つの絶対値記号をそれぞれ外すと、

$$
|x| = \begin{cases}
x & (x ≧ 0) \\
-x & (x < 0)
\end{cases}
$$

$$
|x+2| = \begin{cases}
x+2 & (x ≧ -2) \\
-x-2 & (x < -2)
\end{cases}
$$

となります。これをまとめていきます。

\(x < -2\) のとき \(|x| = -x, \ |x+2| = -x-2\) だから

\[|x|+|x+2| = -x+(-x-2) = -2x-2\]

\(-2 ≦ x < 0\) のとき \(|x| = -x, \ |x+2| = x+2\) だから

\[|x|+|x+2| = -x+(x+2) = 2\]

\(0 ≦ x\) のとき \(|x| = x, \ |x+2| = x+2\) だから

\[|x|+|x+2| = x+(x+2) = 2x+2\]

よって答えは

$$
|x|+|x+2| = \begin{cases}
2x+2 & (0 ≦ x) \\
2 & (-2 ≦ x < 0) \\
-2x-2 & (x < -2)
\end{cases}
$$

となります。


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